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令和7年度施政方針
最終更新日:2025年2月25日
令和7年度施政方針
令和7年第1回津島市議会定例会の開会において、市政運営に対する所信を表明するとともに、主要施策等についての説明を行いました。
全文は、以下からダウンロードできます。
はじめに
令和7年第1回津島市議会定例会の開会に当たり、市政運営に対する所信を申し上げますとともに、当初予算の大綱につきまして、ご説明をさせていただきます。
はじめに、昨年は1月に発生した石川県能登半島地震をはじめ、全国各地で自然災害が多発いたしました。被害に遭われた皆様に、あらためてお見舞いを申し上げます。また、8月に日向灘を震源とした地震が発生した際には、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表されました。その後、幸いにも大きな地震はありませんでしたが、各家庭において非常持ち出し品のチェックなど地震への備えの再確認をしていただきたいと思います。
なお、市民病院におきましては、地震などの災害時における災害拠点病院として指定されております。新型コロナウイルス感染症の流行時と同様に、院長をはじめとする医師、看護師などの医療職、事務職も含めて全職員が一丸となって市民の皆様の命と健康を守る要としての役割を果たしてまいります。
市民の皆様からの厚いご信任を賜り、市長3期目の職務に就かせていただき、まもなく3年が経過しようとしております。これまで市民の皆様からお寄せいただきました信頼とご期待にお応えするため、私のマニフェストとしてお示しさせていただきました「つしま成長戦略 第3弾」に全身全霊で取り組んでまいりました。そして、マニフェストには無かった新たな子育て支援施策であります「子育て支援トータルプラン」を実現するなど、確かな実績を上げてまいりました。
これまでの取組を未来に向けて加速していくことが、私に課せられた使命であります。「魅力マシマシ津島市」をキーワードに、津島市のさらなる発展に全力を尽くしてまいる所存であります。
市議会議員の皆様、並びに市民の皆様におかれましても、津島市の発展のため、ご支援とご協力を心よりお願い申し上げます。
令和7年度に実施する主な施策についてご説明させていただく前に、本市の状況について、3点ご説明いたします。
1点目は「人口」の状況についてであります。
昨年4月に民間の有識者で構成された「人口戦略会議」が公表した分析レポートにおいて、本市が「消滅可能性自治体」として分類されたことが、大きく報道で取り上げられました。
この「消滅可能性自治体」は、「人口戦略会議」が国立社会保障・人口問題研究所の最新の人口推計を基に、2020年から2050年までに20歳から39歳までの女性が半数以下になると予測した市区町村を「消滅可能性自治体」と分類したもので、全市区町村の4割を超える744市町村が「消滅可能性自治体」と分類されております。
ただし、今回、本市が「消滅可能性自治体」として分類される基となった人口推計は、今から20年前の平成17年(2005年)から令和2年(2020年)までの人口動態を用いており、転出超過や出生数の減少が著しかった今から15年前の平成22年(2010年)から平成27年(2015年)までの人口動態が算出結果に大きく影響しています。
近年では、本市への転入超過が続いており、出生数の減少も一定の歯止めが見られ、直近の人口動態を基に将来の人口を推計した場合、結果も変わるものと思われます。今後も本市が「選ばれるまち」、「住み続けたいまち」となるよう魅力を高めてまいります。
2点目は「機構改革」についてであります。
より市民の皆様に分かりやすく、子育てやまちづくり施策など、市の重点施策をさらに強力に推進していくために、4月1日から市役所の組織を変更いたします。
具体的には4つあり、1つ目として市民に分かりやすく、市政全般の政策を総合調整する部署として、現在の市長公室を「総合政策部」に変更します。
2つ目として全国トップレベルの子育て支援と、高齢者・福祉施策の部署を明確に区分し、きめ細やかな市民サービスを提供するため、健康福祉部を「福祉部」と「こども健康部」に分け、組織を強化します。さらに現在の子育て支援課に加えて、新たに「幼児保育課」を設置し、子育て支援を強力にサポートいたします。
3つ目として津島駅周辺の玄関構想など、まちの賑わいとまちづくり施策を着実に推進するため、建設産業部を「まちづくり推進部」に変更します。現在、都市計画課のマスタープラン推進室を「まちづくり事業課」として独立させます。また、現在、市長公室内にあるシティプロモーション課のプロモーション業務と、産業振興課の観光業務を統合した「観光・プロモーション課」とし、強力に津島市をアピールしていきます。
最後に4つ目として救急と病院との連携をより強化するため、消防署に「消防救急課」を新設します。
3点目は「財政」の状況についてであります。
本市の財政状況は、私が市政を引き継いだ11年前、非常に厳しいものでした。そのため、財政を健全化させるべく、事務事業の徹底的な見直しなどによる歳出の削減、様々な形での歳入の確保など、徹底的な行財政改革を行ってまいりました。その結果、平成26年度から令和5年度までの10年間における行財政改革の効果額は、約100億5,000万円となり、市の財務体質は大きく改善いたしました。
市の貯金にあたる財政調整基金の残高は、平成25年度末時点では15億9,800万円でしたが、令和5年度末では約47億円と31億200万円増加、率にして約3倍にすることができました。令和5年度末の市民一人あたりの残高は、約7万9,000円となり、これは県内38市中5位と、トップクラスの順位です。
市の実質的な借金にあたる臨時財政対策債を除いた市債残高につきましては、ピーク時の平成11年度末には約219億円でしたが、令和5年度末では、約64億円と約155億円減少、率にして約29%、約3分の1に減少させることができました。これにより令和5年度末の市債残高は、県内38市中5番目に少ない額となりました。文字通り借金が減り貯金が増え、財政の健全化が達成されました。このように財政の健全化を図ってきたことにより、市の財務体質は大きく改善し、市が次なるステップへ進むための準備が整ったのであります。
このような状況を踏まえ、現在、本市では、令和5年度から「まちづくり再生と子育て支援」の2大プロジェクトを開始しており、令和6年度には「定住促進」を加えた3大プロジェクトを進めております。
1つ目のプロジェクトであるまちづくり再生につきましては、天王川公園の整備や正面玄関である津島駅周辺の暮らしの質を高める「津島Next Move!」事業、北の玄関口となる青塚駅周辺の整備計画など、まちづくりへの成長投資を進めております。
2つ目のプロジェクトである「子育て支援」につきましては、市立小中学校の給食費の完全無償化や、第2子以降の保育料の完全無料化など、全国トップクラスの子育て支援を引き続き展開し、安心して出産、子育てができる環境づくりを進めてまいります。
これらの2大プロジェクトを安定した財政基盤のもとに着実に推進するため、財政調整基金という市政全般に使える財布に加えて、特定の目的のための基金を整備する条例案を今議会に提出しております。総合的に「まちづくり再生」を推進するため、従来からあった歴史・文化のまちづくり基金を「まちづくり基金」に改称する条例案と、「子育て支援」事業を継続的に実施するため、「子ども・子育て応援基金」を制定する条例案です。これら二つの特定目的基金を整備して財政面で支えることにより、2大プロジェクトをより一層強力に推進することができるものと考えております。
そして、この2大プロジェクトに加えて、3つ目のプロジェクトである「定住促進事業」を引き続き実施してまいります。事業内容としましては、津島駅周辺の旧津島エリア、地区計画区域の神守、唐臼エリアにおいて新築住宅を取得した方やリフォームをした方に要件に応じて、最大200万円の補助金を交付するもので、さらに令和7年度には、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、省エネ住宅を取得した場合は補助金を加算するなど、制度の拡充を図ってまいります。
これらのプロジェクトを通して、市民の皆様には、津島に「住んでよかった」、「住み続けたい」と思っていただけるよう、そして、市外の方には、津島に「住んでみたい」、「訪れてみたい」と思っていただけるよう、暮らしの質や地域の価値をさらに高めるために、全力で進めてまいります。
昨年度、第三者委員会からいただいた最終報告書の提言を踏まえ、研修の実施、弁護士による相談窓口、コンプライアンス支援を実施しています。このたび、ハラスメントのない職場の環境改善のため、議会と一緒になってハラスメント防止に関する条例を制定する議案を今議会に提出しております。人権が尊重され、快適に働くことができる職場環境の確立に取り組んでまいります。
それでは、令和7年度に実施する主な施策について、「つしま成長戦略 第3弾」として掲げている5つの項目ごとにご説明いたします。
子ども・子育て応援都市、つしま
まず、「つしま成長戦略」の1点目、「子ども・子育て応援都市、つしま」についてご説明申し上げます。
未来を担う子どもたちは、本市の「宝」です。子どもたちの健やかな育成を図り、「子育てするなら、つしま」の実現に向けて邁進してまいります。そのため令和5年度より、子どもが産まれる前から産み育てるまで、丸ごと支援を行う「子育て支援トータルプラン」として、5つの子育て支援策を中心に実施しております。
1つ目の支援は、18歳まで所得制限なしの子ども医療費完全無料化の継続。2つ目の支援は、第2子以降の保育料も所得制限なしの完全無料化。3つ目の支援は、市立小中学校の給食費の完全無償化及び3歳から5歳児までの保育所・幼稚園・認定こども園等の副食費の全額補助。4つ目の支援は、0歳児を対象としてご希望の子育て用品を無料で自宅にお届けする「子育てサポート選べる無料定期便」。5つ目の支援は、保育所・認定こども園等における使用済み紙おむつの保護者持ち帰りの廃止です。
3つ目の支援であります市立小中学校の給食費につきましては、物価高騰の影響を受けている子育て家庭を支援するため、令和7年度につきましても、完全無償化を継続するとともに、令和7年度は、保育所等の副食費につきまして、半額補助から全額補助に拡充いたします。
これらの5つの子育て支援のほか、年齢期に応じた様々な支援を実施しております。「こんにちは赤ちゃん訪問」では、子育てを応援するため、「おめでとう」の気持ちを込めて、生後2か月を迎える赤ちゃんのいる全てのご家庭を保健師等が訪問しており、大変好評をいただいております。これらの支援は、令和7年度も継続してまいります。
また、令和6年度より、総合保健福祉センターの2階に「こども家庭センター」を開設し、母子保健と児童福祉の機能を一体的に運営することで、両部門が連携・協働を深め、切れ目のない支援を行うための相談体制を強化いたしました。さらに相談支援だけでなく、支援を必要とされる全ての子どもたちや妊産婦の皆様等へのサポートプランの作成、多様な家庭環境への支援体制を充実・強化するための地域資源の開拓なども担ってまいります。
新たに令和7年度からは、東地区子育て支援センターにおいて、家庭で保育を受けることが一時的に困難となった乳幼児を一時的にお預かりする一時預かり事業を実施いたします。また、ファミリー・サポート・センターの利用促進のため、無料利用券の配布を実施いたします。
このような子育て家庭に寄り添った手厚い支援は、まさに日本一の支援であると自負しております。
令和5年度には、こども家庭庁が推進する、子どもたちが健やかで幸せに成長できるような社会を実現する「こどもまんなか宣言」の趣旨に共感・賛同し、「こどもまんなか応援サポーター」として活動することを宣言いたしました。子育て情報アプリの「つしまっち」や子育て応援キャラクターの「つしっぴー」などを活用しながら、子どもとともに幸せに暮らすことができるまちの実現を目指してまいります。
教育に関しましては、「豊かな人間性と、よりよく生きる力を身につけた人(津島っ子)」を育成するため、確かな学力、健康・体力、豊かな人間性のバランスのとれた力を育む特色ある教育を推進しております。
令和4年度から、日本初となる規模で、プログラミング可能な人型ロボットやブロックを市内全ての小中学校に導入し、児童・生徒が楽しみながら役に立つプログラミング学習を実施しております。「津島・プログラミング・プロジェクト」の頭文字をとった「TPP」と称して、昨年8月には、市内全ての小中学校参加による「TPPプログラミング大会市長杯」を開催いたしました。各学校とも仲間と協力しながら創意工夫を凝らしたプログラムが構成されており、今後も創造力を養うとともに、理数教育にも関心をもつ児童生徒を育ててまいります。
今後ますますグローバル化が進む社会の中で、重要となる子どもたちの国際理解教育につきまして、全ての小学校において、県内にある8つ全ての領事館と連携した「領事館交流プロジェクト」を市独自の施策として実施しており、各学校が趣向を凝らした様々な取組を行っております。今後もより一層の国際理解を図るとともに、国際人として未来に飛躍する人材育成を目指して取り組んでまいります。
全ての小中学校に設置をしておりますコミュニティ・スクールでは、学校・家庭・地域が一体となって、地域ぐるみで子どもの成長を見守る体制を推進しております。学習支援「未来塾」につきましては、順次、中学校において実施されており、引き続き、未来に生きる子どものために、地域総がかりで子どもたちを育てる環境を築いてまいります。
近年、全国的に増加傾向である不登校の児童・生徒に対する支援といたしましては、拠点となる津島市教育支援センターを、生涯学習センター内と児童科学館内の2か所に設置し、多様な価値観の中で、子どもたちの様々な学びの場や、安心して過ごすことができる居場所となるよう、個別学習や相談などを行っております。また、校内教育支援センター「ほっとルーム」を4中学校全てにおいて開室いたしました。これにより、これまで教育支援センターに通室していた生徒も、学校に登校するきっかけとなり、友達などとのコミュニケーションが取りやすくなるほか、学校行事への参加なども可能となるものと考えております。
学校教育環境につきましては、これまで全ての小中学校の普通教室などへのエアコン設置、トイレの洋式化、県内初となる体育館へのスポットエアコンの整備などを行いました。現在、学校施設の長寿命化改修に取り組んでいます。令和5年度には、神守中学校と蛭間小学校の体育館の長寿命化改修を行い、令和6年度には、神島田小学校体育館の改修と天王中学校自転車置き場の整備を行いました。令和7年度には、高台寺小学校体育館の改修を行います。子どもたちが安全・安心な学校生活を送ることができるよう、計画的に整備を行ってまいります。
また、働いているなどの理由により、保護者が昼間不在となる家庭の子育て支援として、子どもが放課後や長期の休み中に、安全で楽しく過ごすための遊びや生活の場となる放課後児童健全育成施設「こどもの家」を、8つ全ての小学校区に設置しております。
各こどもの家の運営につきましては、現在、市内のNPOを指定管理者として指定しております。指導員の労働環境を向上させることで、受け入れ体制の充実を図るため、指定管理料を10年前に比べて4倍以上に増額いたしました。今後もこどもの家を利用する子どもたちが有意義な時間を過ごせるよう、さらに保護者の方が安心して子どもたちを預けられるよう、努めてまいります。
こどもの家の施設につきましては、平成29年度には西小学校、平成30年度には北小学校にこどもの家を新築し、令和4年度には、学校から遠方の位置にあった神守こどもの家を神守小学校に新築いたしました。令和6年度は、私が4か所目に手がける南こどもの家の新築に向けての実施設計業務を進め、令和7年度の完成を目指しております。今後も学童保育のさらなる環境の充実を積極的に推進してまいります。
少子化対策として、尾張津島天王祭宵祭開催日に、愛知、岐阜、三重県に在住または在勤の独身者を対象にした婚活イベント「天王祭deご縁結び」を開催いたしました。参加者の半数以上が「出会いのきっかけになった。」とのアンケート結果であり、一定の効果があったものと考えております。令和7年度も引き続き、若者に出会いの機会を提供するため、婚活イベントを実施してまいります。また、県では令和6年度、結婚を希望する人を対象とした「あいち結婚サポートセンター」をオンライン上に開設し、AIによるマッチングシステムの提供や専門の相談員による支援を開始しました。社会全体で結婚を希望する若者を応援する機運を醸成してまいります。
防災・減災モデル都市、つしま
次に、「つしま成長戦略」の2点目、「防災・減災モデル都市、つしま」についてご説明申し上げます。
この地域は、高い確率でマグニチュード8~9クラスの巨大地震が発生することが予測され、地震による甚大な被害が発生することが予想されております。また、近年、全国各地で大雨による被害も頻発化・激甚化している中、市民の皆様を誰一人として取り残すことのないよう、防災・減災対策を行う必要があります。
災害時には、自助・共助・公助の3つが必要となります。大規模災害時には、救援物資が届くまでに時間を要することから、自分の命は自分で守ることができるよう、日頃から7日分程度の食料や、資機材などの備蓄といった「自助」の取組をお願いいたします。
自助を支援するための公助として、地域の皆様に正しい災害ハザードをお伝えするため、令和7年度には災害ハザードマップを更新し、全戸配布いたします。これに加え、新たにインターネット上に専用のアプリなしで手軽にご利用いただけるデジタル版のハザードマップを公開することで、市民の皆様のほか、たまたま仕事や観光で当市を訪問された方にも、いつでも、どこでも危険性が把握できる環境を提供し、いざという時の的確な避難行動を支援してまいります。
地震から身を守るためには住宅の耐震化が大変重要です。昨年発生した能登半島地震における被害を調査している国の機関が、令和6年11月に発表した最新の調査結果では、昭和56年以前の旧耐震基準で建築された木造建築物の倒壊率が約20%にものぼる中、平成12年以降の新耐震基準で建築された木造建築物の倒壊率は約1%に激減するとされています。
また、驚くべきことに、倒壊が懸念される昭和56年以前の木造建築物でも、地方公共団体の補助を受けて耐震改修を行った建物では、倒壊した建築物は確認できなかったとのことです。旧耐震基準で建築された住宅でも、いかに耐震改修が重要かお分かりいただけるかと思います。
市では地震から身を守るために、住宅の無料耐震診断や住宅の耐震改修への補助を行っております。令和6年度は、耐震診断に関する予算を5割増しにするとともに、耐震改修の補助金を100万円から150万円に大幅に拡充するなど、耐震改修や除却に関する予算を2.5倍にいたしました。令和7年度には、愛知県とともに精密診断法を用いた耐震補強設計費を補助する制度を創設します。この精密診断法は、目視中心の一般診断法とは異なり、必要に応じて、壁や天井をはがし、内部構造を確認する詳細な診断方法で、より詳細な診断情報に基づき、補強設計を行うことで、その後の補強工事の費用低減が期待できるものです。また、窓ガラスが割れた際の破片の飛び散りを防ぐための飛散防止フィルムの貼り付けや、家具の転倒防止金具の取り付けを無償で行っております。令和7年度からは、大規模災害が発生した際の電気に起因する火災を抑制するため、一定の揺れを感知すると通電を遮断する感震ブレーカーの設置費補助を新たに創設いたします。ご自身の命を守るため、まだ対策がお済みでない場合は、是非ご利用ください。
市では、毎月第3日曜日を「家庭防災の日」と定め、家庭内において防災について話し合っていただく取組を進めています。家庭防災の日には防災教室を定期的に開催し、備蓄品の確認や、家庭でできる対策などについて啓発しています。是非ご参加いただき、防災意識を高めるきっかけとしていただきますようお願いいたします。
次に「共助」として、災害が起こった際、ご自身の力だけでは避難所へ避難することが困難な方々を一人も取り残さないためには、地域と行政の協働による避難行動要支援制度への取組が必要です。地域の皆様のご協力をお願いいたします。令和7年度には、地域との連携強化に向け、避難所の鍵を自主防災組織など地域の皆様と共有するための取組として、市内12小中学校の全ての体育館及び武道場14か所の鍵を、暗証番号で開錠できるスマートロック(電子錠)に更新いたします。地域の皆様には、いざという時には、あらかじめお知らせする暗証番号で施設をご利用いただけるようにいたします。人的被害を最小限にとどめられるよう、地域で支援する「共助」の体制の確立に全力を尽くしてまいります。
自主防災組織は、地域の防災において、大変重要な役割を担っております。近年の物価高騰の状況等をふまえ、各小学校区の自主防災組織の体制強化のため、令和6年度より補助金を増額いたしました。さらに自主防災組織や町内会に所属する防災にご協力いただく皆様が、万が一活動中に怪我をしてしまったときに備えて、市の負担で個人賠償保険に加入することで、より安心して活動していただくことができる体制を整えております。地域で支援する「共助」にお力添えをお願いいたします。
「自助」・「共助」に加え、市では「公助」といたしまして、災害時における飲料水の確保のため、平成26年度から水道管の耐震化を実施しております。これまでに災害時に避難所となる、東小学校・西小学校・南小学校・北小学校・神守小学校・神守中学校をはじめ、災害時の重要施設である市役所、市民病院などへの水道管の耐震化に対し、20億円を超える投資を行ってまいりました。さらに配水場から離れた地域である神島田小学校、高台寺小学校、蛭間小学校には令和元年度までに約3億円を投資して耐震性貯水槽を設置いたしました。現在は約6億円をかけ第2期の整備工事を進めています。令和6年度には、南小学校と神守小学校への設置工事を実施しました。また、令和7年度には、東小学校、西小学校への設置を進めてまいります。北小学校においては、既に文化会館に設置されている100トンの貯水槽を活用いたします。これにより、令和7年度末までには、全ての小学校区で災害時に大切な飲料水を提供できる環境整備が完了します。今後も引き続き全ての小中学校への設置に向けて計画的に進めてまいります。
市で備蓄する避難所用の資機材として、寒い時期の避難に備え、令和6年度に、毛布や新たに簡易寝袋も備蓄して寒さ対策を強化いたしました。また、大切な家族の一員であるペットも一緒に避難することができるよう、公共施設のうち1か所をペットとの同室避難所とするほか、指定避難所である8小学校でも、ペットと同行避難をされることを想定し、ケージやワンタッチテントなどの資機材を整備いたしました。
市役所本庁舎につきましては、災害時には災害対策本部として機能させる必要があることから、耐震化を実施したほか、非常用電源設備の整備を行ってまいりました。災害時の重要な施設である消防庁舎や、避難所としても重要な錬成館をはじめ、主な公共施設についても耐震化を実施してまいりました。
災害対策本部においては、市民の皆様の命を守るため、国・県・市が保有する情報を一元化する必要があることから、様々な情報を一元的に可視化できる防災支援システムを令和4年度に構築いたしました。このシステムを地域の自主防災組織と連携しながら活用していくことで、地域の減災に結び付けてまいります。また、災害情報を市民の皆様にお知らせするため、災害時の緊急情報、避難所の開設状況、道路の冠水状況の情報などを見ることができる防災情報専用サイト「つしま防災ポータル まもるくん」を開設しております。スマートフォンからでも閲覧できますので、是非ご活用ください。
一方でインターネット等が苦手な方への情報伝達環境の整備も重要です。
今年度末にはエフエムななみの緊急割込放送を活用した送信環境が整備できる予定です。整備後は災害時に、どなたでもラジオを使って、警報や避難情報をお受け取りいただけるようになります。
さらに令和7年度より、75歳以上の高齢者等や避難行動要支援者のうち、希望される方に対しては、緊急時に防災情報が流れるラジオを無償で貸し出す事業を開始します。防災情報を受信すると自動的に電源が入るものであり、情報をいち早く市民の皆様に受けとっていただくことが可能となります。
市では今後も防災DXの一環として、令和7年度には、県内の市としては初めて、国の機関である地方公共団体情報システム機構が提供する被災者支援システムを導入します。
このシステムの導入により、災害弔慰金の支給や応急仮設住宅の提供等の行政事務の迅速化を図るほか、住民の皆様にはマイナンバーカードを利用した避難所の入退室や、全国どこからでも罹災証明書のコンビニ交付ができる環境を整備し、災害発生後の援護体制を強化してまいります。
災害時に避難場所として利用できる場を確保するため、現在、神守地区において、都市公園の整備を行っております。令和5年度には、神守小学校北エリアに約2,500㎡、神守こども園西エリアに約1,800㎡の広さの2つの公園が完成いたしました。さらに神守支所東エリアにも、約2,200㎡の広さの3つ目の公園を整備するため、令和6年度から着工いたしました。今後はさらに神守中学校南エリアに、約4,500㎡の広さの4つ目の公園整備を進めてまいります。
消防本部では、市民の皆様の命を守るため、防災力の強化を図っております。本市の消防本部は、市域のほぼ中央に位置しております。日光川東側の一部の地域においては、救急車の現場到着までの時間が課題となっておりました。そのため、交通量が多い平日昼間帯に、神守支所に救急車を待機させる救急ステーションの実証運用を、令和5年8月から行っております。実際に救急車の到着時間が短縮するなどの効果が出ており、地元の方からも好評いただいておりますので、引き続き運用を進めてまいります。
他の消防本部との連携・協力も進めており、海部地域の消防本部とは合同訓練や勉強会を開催しております。令和7年度からは本市ほか名古屋市を含む7消防本部と指令業務の共同運用を開始します。これにより、消防力の強化による住民サービスの向上が期待できます。また、愛西市とは、県下で初のはしご車の共同整備が実現いたしました。
地域防災に欠かすことのできない消防団につきましては、令和6年度より消防団員の訓練のための出動報酬を増額し、新たな団員の確保に向けて充実を図るとともに、神島田分団車庫を新築移転いたします。
このように、市民の皆様一人ひとりに寄り添った防災対策を行ってまいります。
地域の特性を活かした交流都市、つしま
次に、「つしま成長戦略」の3点目、「地域の特性を活かした交流都市、つしま」についてご説明申し上げます。
本市は、ユネスコ無形文化遺産に登録された「尾張津島天王祭の車楽舟行事」などの四季折々のまつりをはじめ、津島神社、天王川公園、数多くの寺院、歴史的な町並みなど、誇るべき地域資源があり、市民の皆様の地域に対する誇りにもつながっております。
このような地域資源は、私たちが責任をもって次の世代に引き継いでいく必要があります。そのため、現在、尾張津島天王祭などの大規模な祭りだけではなく、市内にある指定・未指定を問わず文化財を把握し、地域の歴史文化を活かした地域振興、文化財の継承につなげていくため、文化財保存活用地域計画の策定に向けて取り組んでおります。
また、市の指定文化財である、氷室作太夫家住居につきましても、保存活用計画の策定に向けて建物の現状や課題の把握などを行っております。適切な維持管理や将来的な公開活用なども検討し、貴重で文化的な資源を後世に引き継いでまいります。
本市が誇る祭りは、地域のコミュニティを支える重要な祭事であります。今後、少子高齢化などにより、祭文化の継承は、ますます難しくなっていくことが予想されます。そのため、尾張津島天王祭及び尾張津島秋まつりの関係団体に対する報償費を、令和7年度もさらに6年度に続き増額いたします。今後も祭りを維持するため、強力に支援をしてまいります。
こういった本市の魅力を、市民の皆様だけでなく、市外にも広く発信し、多くの方に知っていただくためのプロモーションも積極的に行っております。
市の公式YouTubeチャンネルには、本市の広報大使であるプロランナーの神野大地選手が本市の魅力を紹介するPR動画をはじめ、市政や観光などに関する動画を数多く公開しております。
市の公式LINEでは、情報を伝えたいターゲットに対してセグメント配信を行っております。多くの方にご登録いただいており、幅広い世代の方に分かりやすく必要な情報を発信しております。
名古屋市の栄の「森の地下街」にある、UR都市機構が管理する情報交流施設「まちのたね」においては、昨年6月と11月にシティプロモーションイベントを開催し、本市の特産品の販売をはじめ、ライブペイント、体験型のイベントなど、本市の魅力をPRいたしました。多くの方に楽しんでいただくことができ大盛況でした。令和7年度にも引き続き開催し、積極的に本市の魅力をPRしてまいります。
名古屋鉄道株式会社とタイアップした「つしまちあるきキャンペーン」では、津島駅までの往復切符と市内の対象店舗で利用できる「つしまちクーポン」がセットになったお得な企画切符を販売し、本市に来訪し、様々な体験や食事・スイーツなどを楽しんでいただきました。毎年非常に好評で、多くの方に本市の魅力を知っていただいております。令和7年度も引き続き多くの方に楽しんでいただき、本市のファンを増やすことができるよう、キャンペーンを継続するとともに、様々なメディアを活用し、本市の魅力を広く発信してまいります。
若者世代の視点を生かした連携・協力を図るための協定を締結しております愛知大学とは、本市の魅力を発掘し、学生の目線で市の魅力を伝えるデザインを制作する連携プロジェクトである「津島の魅力発見隊!」を実施いたしました。学生同士のチームごとでプロジェクトに取り組み、優秀企画のデザインを市が作成する散策マップのデザインとするものです。各チームとも素敵なデザインを制作していただきました。審査の結果、最優秀賞を受賞したチームのデザインを使用し、新デザインの散策マップを作成いたしました。手にした人が市内を散策したくなるものとなり、参加した学生の皆様には大変感謝しております。
令和7年度には、株式会社中日新聞社とタイアップし、小学生が子ども記者として、地元の企業や団体、店舗などを取材して壁新聞を制作します。この事業に携わることにより、子どもたちが自分の住んでいる地域に対する誇りや愛着を持つことができるシビックプライドの醸成に取り組んでまいります。
ふるさと納税においても、地場産業の活性化と地元特産品のPRのため、全国に向けて積極的に発信しております。災害時の備えとして役に立つポータブル電源をはじめ、返礼品の充実にも力を入れており、より一層充実させるため、様々な工夫を凝らしながら取り組んでまいります。
市が実施する地方創生プロジェクトに対して企業から寄附をいただく企業版ふるさと納税につきましても、多くの企業から本市の取組にご賛同いただき、子育てや防災、公園の整備など、様々な分野で活用しております。さらなる寄附をいただけるよう、引き続き企業に対する積極的な働きかけを行ってまいります。
地域経済が活性化する発展都市、つしま
次に、「つしま成長戦略」の4点目、「地域経済が活性化する発展都市、つしま」についてご説明申し上げます。
令和3年12月に策定いたしました都市計画マスタープランにおいて、津島駅周辺を正面玄関として位置づけるとともに、市内の東西南北それぞれに玄関を位置づけ、将来に向けたまちづくり戦略を展開しております。
正面玄関の取組としては、津島駅、津島神社、天王川公園の3つの核と、これを結ぶ天王通り線を含めたエリアの再生に向けて、令和5年3月に本市と名古屋鉄道株式会社、UR都市機構の三者で、県内初となる、鉄道と連携して進めていく包括連携協定を締結し、三者がベクトルを合わせて正面玄関周辺のまちづくりをスタートしました。
令和6年度は、津島駅の東側区域を、将来を見据えて賑わいがあり、高い人口密度で土地利用を促進していくため、建ぺい率や容積率等の都市計画法の用途地域を変更いたしました。さらに駅東側の駅前広場の拡張に向けた基盤整備に着手いたしました。
令和7年度は、現在の津島駅周辺において、新たな将来像となる駅前の基本計画を策定いたします。さらに用途地域の変更を行った区域では、国の地籍調査事業を実施して、敷地面積や境界を確定し、民間開発をすみやかに促進できるようにしてまいります。
正面玄関の津島駅では、令和3年から毎年度開催してまいりました賑わいの創出や、人の流れを呼び込む津島駅前社会実験となる「えきまえVIP」から得られた効果検証やご意見を踏まえ、現在の駅前における車利用を前提にした環境から、人や賑わいを優先した環境として、新たな津島駅の駅舎改修を含め、公共施設や商業施設の設置や、新たな送迎用ロータリーとバスやタクシー乗り場の検討などを行ってまいります。本市と名古屋鉄道株式会社、UR都市機構の三者が、実現に向けて津島市の正面玄関としての取組を本格化してまいります。今後、これら基本計画の将来像を、市民の皆様にご提示ができるよう取り組んでまいります。
津島駅の東側におきましては、昨年度より駅前広場の拡張に向けて用地取得を進めています。令和7年度予算では、駅前広場の拡張に向けた工事費を計上し整備してまいります。地籍調査と併せて駅東の駅前広場へアクセスする市道は、歩道もないことから、駅前広場にふさわしいアクセス道路の拡張に向けた予備設計を行ってまいります。
津島神社周辺では、観光において最も重要な要素の一つである「食」を中心に不足する飲食店やお土産店舗の解消に向けて、かつての「わざ・語り・伝承の館」と「尾張津島観光センター」の市有地を民間事業者へ貸付していく観光ターミナル事業を募集いたしました。創業100年以上の歴史を持ち、熱田神宮にも出店している「宮きしめん」に出店いただくことになりました。現在、建築設計を進めており、5月ごろより建築工事に着手すると伺っています。本年12月のオープンを予定しておりますので、市民の皆様にも、楽しみにしていただきたいと思います。
津島駅と津島神社を結ぶ約1kmある天王通り線におきましては、駅から700mという位置に、旧いちい信用金庫天王通支店、観光交流センターを一体的に、新たなマチナカのパブリックスペースとして、シビックプライド醸成拠点を整備し、まちの再生を力強く推進してまいります。こちらも官民連携で整備するため、整備運営事業者を募集いたしました。丸善ジュンク堂書店を運営する丸善雄松堂株式会社を代表企業とする共同事業体を優先交渉権者として選定いたしました。今議会には、指定管理者の指定に関する議案を提出しております。本年12月に快適な緑の屋外交流空間となるパティオの先行オープンに向け整備を進めてまいります。令和8年4月には、旧いちい信用金庫天王通支店をマチナカの新たなにぎわい交流拠点施設として整備してまいります。
本市のシンボルロードとなる天王通り線は、令和8年度より進められる国の無電柱化計画により、愛知県が整備主体となり天王通りの電柱の地中化に向けて計画がスタートする予定であります。無電柱化は、マチナカの賑わいとなる景観づくりに非常に有効な事業です。令和7年度には、計画推進に向け、国・県などの関係機関と協議を進めてまいります。
天王川公園におきましては、令和5年度に、屋外ステージやジョギングコースの整備、スターバックスコーヒーのオープンといった公園のリニューアルを行いました。さらにこれまで以上に市民の皆様に愛される公園に向けて、令和7年度は、トイレの大規模改修や、夜間のライトアップ照明の整備を進め、より一層魅力的な公園にしてまいります。
天王川公園や津島神社にアクセスする都市計画道路の橋詰又吉線につきましても、道幅を拡張した両側歩道での整備が一部を残して間もなく完成いたします。
正面玄関だけでなく、東西南北それぞれの玄関におきましても、「価値」を高めるための取組を進めております。
北の玄関である青塚駅周辺におきましては、地域の方と一緒になってまちの将来について検討を行っているところです。昨年9月には地元説明会を開催したほか、将来にわたって暮らしやすく、多様な世代が交流するまちを目指して勉強会を開催しております。今後、道路の拡幅、踏切の拡張、駅前広場の整備など、まちの将来像について、地域の方と対話を重ねながら、広く合意形成を図ってまいります。その上で、令和8年度に地区計画の法的手続き、道路や駅前広場の設計を進め、令和9年度には用地交渉に着手することを目標として進めてまいります。
東の玄関におきましては、名古屋津島線バイパスは、西尾張中央道まで現在整備が進められております。また、生涯学習センターと東公園一帯を、健康増進やスポーツの拠点として位置付けており、魅力向上に向けて取り組んでおります。令和6年度には、スポーツ推進計画を策定し、令和7年度には、東公園一帯の整備に向けた整備基本構想を策定いたします。スポーツと健康をキーワードに、計画的に進めてまいります。
西の玄関におきましては、現在、岐阜県海津市と海部地域を結ぶ、木曽川・長良川新架橋の検討が進められており、完成すれば立田大橋や東海大橋の渋滞緩和のほか、県境を越えた交流や広域的な防災ネットワークの構築にもつながります。いよいよ令和7年度には、都市計画決定に向けて関係機関協議を進めています。構想段階から要望活動、そして実現に向けて動き出す年度となります。早期の整備に向け、引き続き国や県に対して積極的な働きかけを行ってまいります。
東海北陸自動車道一宮ジャンクションと伊勢湾岸自動車道を結ぶ高規格道である一宮西港道路につきましても、令和6年3月に概略ルートの3案が示され、その後、地域の声を聞くためのアンケートが行われたところです。3つの概略ルートは、いずれも津島市を経過するルートであり、完成すれば広域交通アクセス性の向上や、災害発生時における信頼性の高い道路ネットワークの強化に大きく寄与することになります。今後、ルートの最終案が決定されますので、引き続き整備促進に向けて要望を行ってまいります。
企業誘致につきましては、これまで、宇治区域や、本市の南の玄関周辺となる白浜・鹿伏兎区域の3区域約21万㎡に工場などを誘致する区域を指定し、積極的に推進してまいりました。その結果、誘致企業は19社、その中で本社移転した企業は6社となり、区域の約9割に企業を誘致することに成功いたしました。引き続き企業誘致を進めるため、令和5年10月に越津・下切区域約18万㎡、昨年1月に下新田・大縄区域約3万㎡、10月に金柳区域約8万㎡を追加いたしました。企業からも多くの問い合わせや相談をいただいており、きめ細やかな対応を行っております。令和7年度は、新たな企業誘致区域として、百町の約30万㎡において土地利用検討に着手し、より一層精力的に企業誘致を推進してまいります。
企業誘致区域におきましては、地域の方の安全を確保するため、歩道整備も進めております。宇治百町線と神尾金柳線において、令和6年度に歩道設置を含む道路拡幅に向け、整備が進められるよう調査に着手したところであります。令和7年度には、各路線の企業誘致区域付近において道路の中心線を決定し、整備促進を図ってまいります。
定住促進策につきましても、積極的に取り組んでおります。令和6年度からは、それ以前に実施していた新築住宅取得に対する補助制度を大幅に拡充いたしました。対象区域を居住誘導区域と市内にある16団地に拡大いたしました。日光川東エリアの青塚団地、喜多神団地、葉苅団地、宇治団地、神守団地、みずほ団地、こがね団地、下切住宅、江南団地、百島団地、みどり台団地の11団地と、日光川西エリアの永宝団地、さかえ団地、上春日台団地、下春日台団地、東愛宕住宅の5団地の合計16団地であります。また、対象者につきましても、新築住宅を取得された方だけでなく、中古住宅取得後にリフォームする方、中古住宅を賃貸後リフォームする方も対象といたしました。令和7年度には、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、省エネ住宅を取得した場合は補助金を加算するなど、制度の拡充を図ってまいります。
神守中町・神守下町及び唐臼地区におきましては、約68万㎡で建ぺい率と容積率などの建物の規制を緩和し、これまで建築できなかった建物が建築できるようになりました。昨年4月には、中地地区約4万㎡においても規制緩和を行いました。令和7年度には、愛宕地区約7万㎡においても規制緩和を行うことができるよう、準備を進めてまいります。これにより土地利用の促進が図られ、定住人口の増加につながる新たな住宅の供給につながります。規制緩和を行った神守中町・下町地区、唐臼地区では、58世帯、175名の方が、令和6年3月31日までに新築住宅を取得し、新築住宅取得の補助制度を利用されました。新たな住民を迎え入れることができ、規制緩和の効果が大きく出ております。
いつまでも健康で暮らす都市、つしま
次に、「つしま成長戦略」の5点目、「いつまでも健康で暮らす都市、つしま」についてご説明申し上げます。
津島市民病院は、この地域になくてはならない病院として、海部医療圏の医療を守る要となる中核病院としての役割を果たしております。コロナ禍においても、市民の皆様の命と健康な暮らしを守るために、医療従事者が最前線に立って対応しました。引き続き質の高い医療を提供していくため、市と病院が一体となって、安定的な運営を行ってまいります。
市民の皆様がいつまでも健康で暮らしていただくには、一人ひとりの健康づくりが重要となります。そのため、市では「笑顔で健幸大作戦!」と銘打ち、スマートフォンのアプリを活用して、毎日の歩数の記録や、自分で決めた健康目標へのチャレンジなど、一人ひとりの健康習慣を応援しております。「食生活や普段の生活から健康を意識するようになった」などの声を聞いております。
昨年10月から11月にかけては、市民の皆様のご意見を取り入れ、市内の8つの小学校区別に作成したウォーキングマップを使用し、楽しくまちを歩くイベント「歩くとイイDAY」を各校区で開催いたしました。イベントでは、楽しくまちを歩くことに加え、歩くことの可能性を広げ、楽しく体を動かすレクリエーションも実施し、多くの市民の皆様にご参加いただきました。令和7年度には、市民ボランティアの皆様と一緒に、市民の皆様が日頃から健康づくりに取り組むことができるように活動してまいります。
健康増進には、スポーツも有効です。先ほど、東公園一帯の整備に向けた取組のなかでご説明したとおり、令和6年度にスポーツ推進計画を策定いたしました。計画の策定にあたっては、市民の皆様や、小中学生、スポーツ関係団体などにアンケートを行い、いただいたご意見を反映するとともに、「津島市スポーツ振興通信」を発行し、計画策定過程を公開しながら作業を行いました。スポーツを通して誰もがいつでも、どこでも、いつまでもつながることができるまちに、さらにスポーツに親しむ環境づくりを進めることで、よりよい未来の津島を目指していこうという思いを込め、基本理念を「スポーツで つながる・つくる 未来の津島」といたします。計画では、スポーツ施設の整備方針を示しており、現在、利用を休止しております屋内プールの再整備をはじめ、施設別の整備についての方針を整理しております。そしてスポーツ推進計画を踏まえたうえで、東公園地域周辺を一体的に整備するために、必要な基本方針や課題などを明確にするため、令和7年度中に東公園一帯整備基本構想を策定いたします。性別、年齢、障がいの有無にかかわらず、誰もがスポーツに親しむことができる施設環境を創出してまいります。
葉苅スポーツの家と生涯学習センターにおきましては、夏の暑い時期でも安心してスポーツを楽しんでいただくことができるよう、令和6年度に、壁掛けタイプのスポットエアコンを整備いたしました。さらに生涯学習センターにおいては、屋外運動場やオムニコートの全面改修も実施いたしました。これにより、生涯を通じて気軽にスポーツを楽しんでいただくことができます。
高齢者の皆様に対しましては、令和7年度中に総合保健福祉センター内に新たな活動拠点を整備いたします。シニアeスポーツを実施できる環境を整備するなど、高齢者の皆様が、様々な世代の方と交流することができる施設とする予定です。
認知症の高齢者の皆様に対しては、令和5年度より、万が一他人に怪我を負わせてしまったり、他人の物を壊してしまったりしたときに備えて、1億円を限度として保険金の支払いを受けることができる個人賠償保険に市の負担で加入しております。行方不明になる恐れのある高齢者に対しては、自宅に帰れなくなった際に早期発見、保護できるよう、二次元コード付きのラベル・シールを配付しております。
75歳以上の高齢者、移動が困難な障がい者、妊産婦の皆様を対象として、外出時のタクシー料金が半額となる、「津島おでかけタクシー事業」は、令和5年1月から開始し、これまでの利用実績の累計は6万件を超え、利用登録者数も約4,000人となりました。大変ご好評をいただいております。令和7年度は、物価高騰対策として、さらに利用者負担を軽減いたします。利用料金の4分の3を市が負担し、利用者の皆様は4分の1の負担といたします。利用者負担を減らすことで外出の機会が増加し、健康増進にもつながります。「津島おでかけタクシー」に乗って、健康づくりを始めるきっかけにしていただければと思います。
障がいのある方への支援といたしましては、令和6年度に、障がいのあるご本人やその家族の各種ニーズに対応できる総合的な相談支援や専門的な相談支援などを行う基幹相談支援センターを、総合保健福祉センター内に設置いたしました。社会福祉協議会と連携しながら、一人ひとりに寄り添った支援をしてまいります。
障がいのある児童への支援といたしましては、障がいのある児童やその家族への相談、障がい児を預かる施設への援助・助言などを行う地域の中核的な療育支援施設である児童発達支援センターを、旧津島市立津島幼稚園に設置するため、昨年3月に設置・運営事業者を選定いたしました。現在、令和8年度からの開設に向けて事業者との調整を行っているところです。今後、建物の移譲手続きなど、引き続き事業者と調整を図ってまいります。
ここまでは、「つしま成長戦略」として掲げた5つの項目に沿って説明してまいりました。続きまして、この「つしま成長戦略」の推進と並行して進めていくべき内容についてご説明いたします。
まずは、市民サービスの向上につながるデジタル化です。本市では、デジタル技術を活用しながら従来の制度などを変革し、様々な課題を解決するデジタル・トランスフォーメーション「DX」を推進しております。
デジタル技術を活用した窓口改革として、役所に「来ない」、書類を「書かない」、手続きを「待たせない」行政サービスの実現を目指しております。住民票などのコンビニ交付、タブレット端末による申請システム、「出生コーナー」や「おくやみコーナー」での窓口ワンストップサービス、窓口のキャッシュレス化などを導入しております。本年1月からは、所得課税証明書・個人住民税の納税証明書についても、コンビニエンスストアで交付できるようになり、さらに利便性が向上いたしました。
市民の皆様の安心を守るため、昨年2月から無線システムである地域BWAを活用した子どもの見守りサービスを開始しております。児童に小さな見守り用の端末を配布し、小学校や通学路沿いの店舗・住宅などに設置された見守りスポットで見守り端末の電波を受信し、アプリによってその通過情報を確認できるものです。万が一、児童の捜索が必要な事態が発生した場合、捜索の一助となります。
このようなデジタル技術の活用は、職員の働き方改革にもつながっております。令和6年度に導入したAIを活用した議事録作成支援システムは、AIが自動で議事録を作成するもので、作業効率が非常に向上しました。これにより、職員は職員にしかできない業務に注力することが可能となります。
今後も行政手続きをはじめ、防災、業務効率化など、様々な分野でデジタル化を推進してまいります。また、デジタル技術の恩恵を受けることができる人と、恩恵を受けることができない人との格差である「デジタルデバイド」の解消に向け、デジタルに不慣れな方に対する対応も行ってまいります。誰一人取り残すことなく、『「デジタル化で、しあわせ実感都市、つしま」をさらに前へ!』をキャッチフレーズに、これまで以上に強力に、かつ計画的に、デジタル・トランスフォーメーション「DX」を図ってまいります。
人権啓発や地域住民の福祉の向上、交流の拠点施設である南文化センターにつきましては、建物及び設備の老朽化に対応するため、現在、大規模改修工事を実施しております。工事完了後には、地域交流促進事業や生活上の相談事業の充実を図ってまいります。
地球温暖化対策につきましては、令和5年7月に「世界気候エネルギー首長誓約(世界首長誓約/日本)」の誓約書に署名するとともに、令和6年度の施政方針において、2050年二酸化炭素排出実質ゼロを目指すゼロカーボンシティ表明を行いました。本市では、これまでも照明のLED化、太陽光パネルや蓄電池の設置、電気自動車の導入など、様々な取組を実施しております。市民の皆様に対しても、住宅への地球温暖化対策設備の設置に対する補助を実施しております。私たちは地球人です。地球の未来に責任を持たなければなりません。私たちが暮らすこの地球の環境を守り、急速に進む地球温暖化に歯止めをかけるため、一緒に取り組んでまいりましょう。
市政運営を進める上で、最も重要となる市民の皆様の声にも耳を傾けております。令和4年度から、市内8つのコミュニティ推進協議会や市内で活動する団体を対象として、本市が取り組んでおります市の価値を高めワクワクするまちづくりや、全国トップクラスの子育て支援などについて、私が直接、報告・説明をしております。令和7年度も引き続き市民の皆様の声をお聞きする機会を設け、いただきましたご意見は、今後の市政運営の参考にさせていただきます。
令和7年度当初予算案
ここからは、これらを実現していくために、今議会に提出いたしております令和7年度当初予算案につきまして、ご説明申し上げます。
まず、予算規模でありますが、一般会計273億1,000万円、特別会計132億6,211万7,000円、企業会計155億4,680万2,000円で、これら全会計を合せますと561億1,891万9,000円となり、前年度の当初予算と比較しますと、一般会計は5.9%の増、特別会計は0.6%の減、企業会計は0.7%の減、全会計では2.4%の増となっております。一般会計の予算規模としましては、文化会館の建設を行った平成7年度、8年度を除くと、最大の規模となります。
次に、一般会計の歳入でありますが、根幹を成す市税収入は、87億2,193万3,000円で、前年度比4.7%の増、令和6年度に物価高騰対策として行った個人住民税の定額減税分を除いても、前年度比2.1%の増と、増収基調が続いております。また、地方交付税についても、35億円で、前年度比3.6%の増となります。なお、地方交付税の振替措置である臨時財政対策債は、地方財政の健全化により、制度創設以来、初めて発行額がゼロとなります。
次に、歳出でありますが、義務的経費のうち人件費は41億9,259万2,000円で、人事院勧告に伴う給与改定などにより、前年度比6.5%、約2億5,000万円の増、扶助費は、75億3,647万5,000円で、子育てや福祉関係の給付費の増などにより、前年度比10.7%、約7億3,000万円の増となっています。投資的経費は、30億3,493万8,000円で、道路などの基盤整備に加え、津島駅東側駅前広場の整備、東小学校と西小学校の耐震性貯水槽の設置、南こどもの家や消防神島田分団車庫の建設、改良住宅の長寿命化工事などの事業費を計上しております。なお、投資的経費につきましては、令和3年度当初予算の約7億円から、令和4年度市長選挙後の6月補正予算において、3倍の約21億円、さらに令和6年度当初予算においては、約31億円まで増額しており、令和7年度においても、30億円を超える投資額を計上しております。
令和7年度は、令和6年度に引き続き、「まちづくり再生の推進」、「全国トップクラスの子育て支援の継続」、「定住促進のさらなる充実」を重点施策とし、明るい未来を創造するための充実予算を編成しました。
このため、予算編成にあたりましては、市の貯金ともいえる財政調整基金から、24億4,000万円を繰り入れておりますが、財政調整基金は、令和6年度末で約40億円の残高を確保できる見込みであり、津島市の標準財政規模約140億円の1割から2割である14億円から28億円程度が適正水準といわれておりますので、十分な残高を維持しております。
津島市の財務体質は大きく改善しており、着実に安定してまいりました。今後につきましても、行財政改革に不断に取り組むこと、必要な施策に効果的に財源を投入することなどで、持続可能な行財政基盤を確保しながら、「つしま成長戦略」を着実に推進してまいります。
結びにあたり、今議会には令和7年度当初予算をはじめ、条例などの諸議案を提出しております。いずれも市政運営に欠くことのできないものばかりであります。十分ご審議の上、適切なるご議決をいただきますようお願い申し上げます。
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